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No.83 魚の目が語るもの

釣ったばかりのトラウトの目は、その大きさに関わらず、必ず寄り目がちで下を向いている。

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私には、その魚が「どうか殺さないで」と訴えかけてきているように見える。

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黒い目玉がサンマの目のように真横を向き始めた時、急に全身の生気は失われ、体色は一揆に白っぽく変化し始める。

そうなるまでに多くの時間を要しない。

せいぜい2分。

真夏なら1分を過ぎると危険だ。

如何に構図が美しく、一見綺麗に見える写真であっても、魚の目は嘘を付かない。

その釣り人がどういう風にその魚を扱っているかと言うことを。

釣った魚を煮て喰おうが焼いて喰おうが、激写後に河原に投げ捨てようが、大して市場価値のない川釣りで釣れた魚の話ではあるのだが。
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by nijimasuo | 2014-07-02 21:44 | その他

No.1 連休明けの朝

庭のチューリップが穏やかな春の朝日を待ちわびていたように赤や黄のつぼみを一斉に開花させた。

こんな気持ちの良い朝は仕事など放ったらかして、どうしても釣りに出かけたくなる。

きっと美笛の河口は、流れに押し流されそうになりながら必死に川筋にそって岩盤に張り付くように泳ぐたくさんのウグイと、その群れとは少し離れ、酸素を十分に溶解させた雪解けの流芯の僅か下層で、流下してくる小昆虫を捕らえようと待ち構えるニジマスが、あのピンクや銀白や濃緑や淡紫や黒や赤や紺碧や、まるで高価な絹の着物のような七色の眩い鱗の衣を纏って、楽しそうに悠々と泳いでいるに違いないなどと、ふと物思いに耽りながらパソコンの画面を見つめては溜息をつくのである。

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釣り人は、釣りをしながら、フライを巻きながら、仕事をしながら、あの溯上に備えたシロザケの背びれで埋まる河口を、運転席に差し込む光の屈折に右手を翳しながら、音楽を聴きながら、川のせせらぎや静寂の湖のことを、夜更けに釣り雑誌を眺めながら、市街地の橋を渡りながら、唇とウィスキーグラスの間で、波立つワンドの乱反射を、時にふとした瞬間に、何時だって釣りの物思いに耽るのである。

そうした耽った物思いについて、時にその物思いが実現した事について、取り留めも無く書き記すことにした。
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by nijimasuo | 2007-05-09 17:29 | その他